【フィレンツェ】映画インフェルノのロケ地を巡る

2021年5月3日

イタリアのフィレンツェ、ヴェネチア、トルコのイスタンブールの3都市を舞台にしたダン・ブラウンの小説インフェルノ」。

2016年にはトム・ハンクスを主演としたラングドンシリーズの三作目となる映画も公開されました。

映画と小説ではストーリーの終わり方がかなり違いましたが、どちらのバージョンもそれぞれの持ち味を活かした、素晴らしい作品でした。

今回はその中から、舞台の一つであるイタリアのフィレンツェにあるインフェルノのロケ地をご紹介したいと思います。

フィレンツェはイタリアの中部にある都市で、現在その人口は約38万人。

その歴史的な街並みとルネッサンス芸術の文化的価値などから、フィレンツェ歴史地区はユネスコの世界遺産に街全体で登録されています。

そして、物語の鍵となるのが、『神曲』を著したフィレンツェ出身の詩人ダンテ・アリギエーリ

彼を語る上で欠かせないのが、べアトリーチェとフィレンツェ追放です。
こちらは今後、彼を扱った特集の中で詳しく触れることにします。

フィレンツェ出身者はダンテの他に、ダ・ヴィンチミケランジェロボッティチェリマキャヴェリなど著名な人物が数多くいます。

こうした舞台フィレンツェの歴史的背景を知ることで、小説・映画「インフェルノ」を何倍も楽しむことができると思います!

ヴェッキオ宮殿

ヴェッキオ宮殿は、ラングドンとシエナが五百人広間でヴァザーリの壁画「マルチャーノの戦い」の中にCerca trovaの文字を見つける場面や、ヴァエンサが天井の絵画を破って落下するシーンで使われました。

五百人広間は1503〜1505年頃、フィレンツェ共和国の依頼で、ダヴィンチミケランジェロが壁画を共作したのですが、二人の作品が未完のまま終わってしまいました。

未完成の広間に不満を持っていたコジモ1世は、ヴァザーリに依頼し、1555〜1572年にかけて広間の大幅な改修を行わせたのです。

こうして、現在残っている壁画は、ほとんどがヴァザーリとその弟子たちのものとなっているのです。

その中でも、「マルチャーノの戦い」に描かれた緑色の軍旗に書かれたCerca trova(探せ、さらば見つからん)の文字の意味を探るため、調査が実施され、壁画の裏の壁に2.5cm程の空洞があることが発見されました。

一説では、ヴァザールの壁画の裏にダヴィンチの絵が隠されているのではないかと言われていますが、まだその存在は明らかにされていません。

ラングドンたちが盗んだダンテのデスマスクもヴェッキオ宮殿にあります。

ただ、こちらは本物のデスマスクではないようです(^^;

ヴェッキオ橋

ヴェッキオ橋は、ピッティ宮殿からヴェッキオ宮殿までを結ぶヴァザーリの回廊の一部を成していて、ラングドンとシエナも映画の中で、この橋の二階部分を渡って、ヴェッキオ宮殿に入りました。

ヴェッキオがイタリア語で「古い」という意味であるように、ヴェッキオ橋はフィレンツェで最も古い橋なのです!

ボボリ庭園・ピッティ宮殿

ボボリ庭園は、コジモ1世の妃エレオノーラ・ディ・トレドがトリボロに命じて作らせた庭園です。

エレオノーラはボボリ庭園を作る前、ヴェッキオ宮殿内の自らの部屋を庭園に見立て、壁を緑のペンキで塗らせていたと言います。

映画の中でボボリ庭園は、ラングドンとシエナがWHOから逃げ、ヴァザーリの回廊への入り口を見つけるまでの場面に登場しました。

小説ではポセイドンの噴水など、ボボリ庭園に関するより詳細な描写があります。

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂


サン・ジョバンニ洗礼堂

ラングドンとシエナはこちらの洗礼堂内で、ダンテのデスマスクを発見することになるんですね。

ダンテはこの洗礼堂で洗礼を受け、『神曲』の地獄篇では「わが美しき聖ジョヴァンニ」と書き記しています。

バディア・フィオレンティーナ教会


※写真の左側の尖塔です。

映画の冒頭でバートランド・ゾブリストが、ブシャールらに追われ、自ら身を投げた教会がこちらです。