【2018-19年】フェルメール展の見どころを徹底解説!

2021年5月3日

あの『真珠の耳飾りの少女』でお馴染みのオランダ画家フェルメールの絵画が、10月5日からついに上野の森美術館にやってきました。

今回の特別展では、追加出展が決まった『取り持ち女』を含む、計9点の作品が展示されます。

これは、2008年に開かれたフェルメール展での7点を上回り、国内では史上最大規模のフェルメール展です。

フェルメールの作品が一度にこれだけ揃うのは稀なことなので、是非この機会に訪れてみてください。

この記事では、そんなフェルメール展の見どころと、フェルメールを語る上で欠かせないポイントをご紹介していこうと思います。予備知識を持って鑑賞と絵画を見る楽しみも増すと思うので、是非参照してください。

また、最後にフェルメール展のチケット購入方法などの情報も載せています。特に東京展では、チケットは事前購入かつ日時指定制なので、気を付けてください。

フェルメール展の見どころ

『取り持ち女』が日本初公開(2019/01/09〜)

キリストの説いた譬え(たとえ)話「放蕩息子」に着想を得た『取り持ち女』は、フェルメールが物語画家から風俗画家へ転向した初期の作品であると言われています。

これは、3点しかない制作年の入った作品のうちで最も古いことに加え、フェルメールの風俗画の特徴である、明確な空間構成洗練された色遣いなどの要素が欠けていることからも見て取れます。

さらに、フェルメールの初期の作品に見られるこうした特徴は、現存する数少ない物語画の一つ『マルタとマリアの家のキリスト』の中でも確認することができます。

このことからも、『取り持ち女』はフェルメールがちょうど物語画から風俗画へと題材を変えた過渡期に描かれたことが推測できるのです。

また、『取り持ち女』の一番左にいる人物は、『絵画芸術』という作品に描かれている画家と同じ服装をしていることから、フェルメール自身ではないかとも言われています。

フェルメールの傑作『牛乳を注ぐ女』

こちらは、私が今年2月ごろにアムステルダム国立美術館に行った際に撮った写真です。

ヨーロッパでは撮影は基本的に許されているのですが、日本の特別展での撮影は禁止となっているので気をつけましょう。

『牛乳を注ぐ女』では、フェルメールの風俗画の特徴である遠近法青と黄色を基調とした色遣いを見ることができます。

フェルメールが好んで使用した青色ですが、これはラピスラズリという貴重な鉱石から得られる色で、当時これが庶民を描くために使われるのは珍しいことでした。

ちなみに、西洋画で青は純潔な女性を表し、聖母マリアを描く際に用いられました。

この絵で注目していただきたい点はまだまだありますが、全て記載すると読んでいて疲れてしまうと思うので、重要なポイントだけ押さえていきます!

注目ポイント1 光と影の表し方がすごい!

ミルクや肌の光が当たる部分は、白い絵の具の点描で表現されています。

また、をしっかりと入れることで、をさらに際立たせています。

注目ポイント2 テーブルは実は台形!

実はこの絵のテーブルは、フェルメールが透視図法を用いているとなると不自然なんです。

もし長方形の机であるとすれば、机は奥に行くに従って小さくなって行くはずですよね。

なので、こちらの机は台形であると見られています。

注目ポイント3 主役はあくまで『牛乳を注ぐ女』!

実はテーブルが台形なのも、女性を際立たせるための手法なんです。

さらにフェルメールは周囲の小物にもこだわって、女性を強調しました。

絵を見ただけではわかりませんが、女性の後ろの壁にはもともと地図が描かれる予定でした。

しかし、女性が目立たなくなるという理由から消されたと見られています。

さらに、足元にもがもともと置かれていましたが、目立たない色の足温器に変えられています。

フェルメールの作品が最多の9点!他の作品は?

現存するフェルメールの作品は、全部で35点と言われているので、そのうち9点を見れるということは、全作品のうち4分の1を制覇したことになります。

こんな機会はなかなかないので、これは見逃せないでしょう。

さらに展示会では、奇跡の「フェルメール・ルーム」と題して、9つのフェルメールの作品を一つの部屋で楽しめる作りにしているようです。

マルタとマリアの家のキリスト

先ほど、『取り持ち女』のところでもちらっと出てきましたが、フェルメールが物語画を描いていた頃の作品です。

この物語はどのようなものかというと、

キリストの一行を迎えたマルタとマリアでしたが、食事の支度で忙しくしているマルタに対して、マリアはキリストの話を聞くばかりでマルタを手伝おうとはしませんでした。

気を悪くしたマルタはマリアに不平を言いますが、キリストはマルタを諌めて次のように言います。

「なくてはならぬものは多くない。いや、一つだけである。マリアはその良い方を選んだのである」

このキリストの言葉によって、マルタの世俗的な世界マリアの瞑想的な世界が暗示され、見た人はどちらかの選択を迫られるのです。

手紙を書く婦人と召使い

こちらの絵は完成度もさることながら、その事件性でも脚光を浴びた作品となっています。

なんとこの『手紙を書く婦人と召使い』は二度も盗難にあっているんです。

一度目は1974年、IRAと呼ばれるアイルランドの地下組織の犯行で、『ギターを弾く女』と共に盗まれました。

二度目は1986年、作品を闇マーケットで売りさばこうとした犯人による犯行でしたが、無事絵画は取り戻され、ことなきを得ました。

その後、保管されていたラスボロー・ハウスでは危険であるということがわかり、国立の美術館に寄付されました。

ちなみにラスボロー・ハウスでは2001年に、再び絵画強奪事件が起きていますが、寄付した甲斐あって三度目の盗難は免れたようです。

フェルメール展情報

東京展

期間:2018/10/05〜2019/02/03

場所:上野の森美術館

開館時間:9:30~20:30(入管は閉館の30分前まで)

前売日時指定券:一般 2,500円

大学・高校 1,800円

中学・小学生 1,000円

当日日時指定券:前売日時指定券+200円(入場枠に余裕があった時のみ)

音声ガイド:無料

上野の森美術館ホームページ

入場方法

入場方法には注意が必要で、まず入場券は事前購入です。

さらに日時指定入場制となっており事前に日時まで指定して置かなくてはなりません。

入場時間は以下の6つの時間帯に分かれており、指定した時間内ならいつでも入ることができます。

①9:30~10:30

②11:00~12:30

③13:00~14:30

④15:00~16:30

⑤17:00~18:30

⑥19:00~20:00

また、入場後の時間制限もありませんので、ゆっくりと鑑賞を楽しんでいただくことができます。

※開館・閉館時間は日によって異なる場合があるようなので、事前に必ず確認してください。

大阪展

期間:2019/02/16~2019/05/12

場所:大阪市立美術館

開館時間:9:30~17:00(入場は閉館の30分前まで)

入場料:一般 1,800円(前売り/団体 1,600円)

学生 1,500円(前売り/団体 1,300円)

音声ガイド:600円

大阪市立美術館ホームページ

入場方法

大阪展には日時指定入場制はないようです。

関連書籍

フェルメール展についてさらに知りたい方へ関連書籍をご紹介します。

『フェルメール展』公式ガイドブック (AERAムック)

主な内容
●《牛乳を注ぐ女》など4作品のポイントを徹底解説!
●まるかわりフェルメール/初来日作品《ワイングラス》などの魅力を探る!
●フェルメールの全35作品、完全収録&解説
●知れば話したくなる「フェルメール5つのキーワード」
●比べてわかるフェルメール/同じメイドを描くのでも差が出るのはナゼ!?
●フェルメールの名画を生んだ17世紀のオランダ解説(国学院大学小池寿子)
●世界初のバブルは、オランダの「チューリップ・バブル」ってホント
●350年前のオランダ国民の生活とは?
●米、蘭、独、仏……、フェルメールの名画は今どこにある?
●フェルメールが歩いた小路/愛しの故郷、古都デルフトを探訪する
●フェルメールの絵35点が揃うとこうなる
●格安LCCの旅、17万8000円でフェルメールの絵を全部見る!
●代表作で辿る、フェルメールの短すぎる43年の人生

最後に

ここまで、フェルメールの魅力、そしてフェルメール展のポイントをお伝えしてきました。

フェルメール展に行かれるときは、しっかりルールを守って、皆さんが心地よく鑑賞できるように協力しあいましょう。

それではまた^^