【世界遺産】ヴィエリチカ岩塩坑に行くべき理由とは?

2022年10月31日

クラクフから日帰りで行ける観光地の中で、アウシュビッツ(オシフィエンチム)と並んで訪れる価値があるのが、ヴィエリチカ岩塩坑です。

ただ、観光の日数によっては、ヴィエリチカを予定に組み込むか迷っている方も多いかと思います。

そんな方のために、この記事ではヴィエリチカの概要感想をお伝えしたいと思います。

ヴィエリチカ岩塩坑について

ヴィエリチカ岩塩坑の場所と行き方

ヴィエリチカ岩塩坑は、クラクフから15kmほど南東に行ったところにあります。

ヴィエリチカへは通常、鉄道バスで行けるのですが、私が訪れた時は、鉄道は運行していませんでした。

鉄道が止まっている日でもバスは動いているようなので、最初からバスで行くプランで考えておけば大丈夫かと思います。

バスで行く場合

バスで行く場合、上の地図で示したポイントから304番のバスに乗って行くことになります。

バスの頻度は1時間に1〜5便ほどで、所要時間は40分程度になります。(料金4zl〜)

Wieliczka Kopalnia Soliが降車するバス停の名前です。

電車で行く場合

電車で行く場合には、クラクフ本駅から、Koleje Malopolskie社の列車に乗って行くことになります。

列車の頻度は1時間に1〜2便ほどで、所要時間は約20分となります。(料金3.5zl)

Wieliczka Rynek-Kopalnaが最寄りの駅となります。

世界遺産であるために

世界遺産第1号

ヴィエリチカ岩塩坑は、ガラパゴス諸島イエローストーンクラクフ歴史地区などと同時に、1978年に世界遺産に登録されました。

この年に登録された世界遺産は第1号となり、ヴィエリチカを含む合計12の箇所が登録されました。

ちなみに、世界遺産としてふさわしいかを審査する際に与えられるID番号では、ガラパゴス諸島が「No.1」なんだそう。

登録された理由

ヴィエリチカ岩塩坑は、登録基準(iv)が適用され登録に至りました。

この基準(iv)は、歴史上重要な時代を物語る建築物(群)や技術の集積、景観に対して適用される基準です。

そのため、ヴィエリチカ岩塩坑のガイドツアーでは、内部の彫像や装飾、景観から伺い知れる歴史を細かく説明してくれるのですね。

危機遺産からの回復

その歴史的な価値から世界遺産に選ばれたヴィエリチカ岩塩坑でしたが、1989年には危機遺産に指定されたこともありました。

危機遺産に登録された原因は、換気装置の不備によって溜まった湿気により、坑内のモニュメントが損なわれてしまっていたことにありました。

しかし、この問題は1998年に適切な換気装置が設置されることによって解消され、危機遺産リストからは外れることができました。

ヴィエリチカ岩塩坑に行ってみた!

ヴィエリチカのツアーには、旅行者ルートと鉱夫ルートの二つあります。

旅行者ルート

一般的に観光客が参加するのは、旅行者ルートです。旅行者ルートでは、20〜30人ほどの旅行者に対して、一人のガイドがつき、坑内を案内してくれます。(催行人数は35名以下)

開館時間は、4〜10月が7:30〜19:30、11〜3月が8:00〜17:00となっています。

休館日はないようですが、念のため事前に確認しておくことをお勧めします。

英語ガイドツアーの料金は、大人が84zl(89zl)、子供・学生が64zl(69zl)となっています。(4/29〜5/3、7・8月はカッコ内の料金となります)

キンガ姫の指輪事件

ヴィエリチカ岩塩坑を知る上で重要なのが、13世紀のポーランド王妃キンガ姫の「指輪事件」の逸話です。

キンガ姫は、ポーランド王ボレツワフ5世との婚約が決まったとき乗り気ではなかったため、現在のルーマニアにある岩塩坑に婚約指輪を投げ捨てたのです。

しかし、彼女がポーランドに嫁いで10年ほどしたある時、当時はまだ小規模のヴィエリチカ岩塩坑から、彼女が捨てた指輪が見つかったのです。

これには何かの意味があると感じたキンガ姫は、ヴィエリチカ岩塩坑を本格的に開発することにしました。すると地中から大規模な岩塩床が見つかり、それ以来、国を挙げての大事業が推し進められていったのです。

コペルニクスも訪れた

ポーランド出身で、地動説を提唱したことでも有名な天文学者コペルニクスもヴィエリチカ岩塩坑を訪れたことが知られています。

コペルニクスを模したこの像は、コペルニクスの生誕500周年の年に記念として作られたものです。

聖キンガ礼拝堂

このツアーでの主役は、この聖キンガ礼拝堂ではないかと思います。

何と、ここにあるものは全て塩から作られているのです。

それは、壁に彫られたレリーフや祭壇のキリスト像、吊るされたシャンデリアなど本当に全てのものに及びます。

祭壇に向かって右側の壁には、塩の壁を彫って作られた「最後の晩餐」のレリーフもあります。

こちらが祭壇です。左手前に見えているキリストの磔刑像も塩からできていることがわかります。

行ってみた感想と注意点

行ってみた感想

こうしてヴィエリチカ岩塩坑に行ってみたわけなのですが、実を言うと当初はヴィエリチカには行かない予定でした。

と言うのも、ポーランドに滞在する日数は限られており、クラクフの後にはワルシャワにも行かなければならなかったからです。

しかし今回、こうしてワルシャワで過ごす時間を削ってでもヴィエリチカに来てみて良かったと思っています。

実際にワルシャワは、クラクフに比べて周る場所も少なく、さらに観光地が集約化されていルため、少ない日数でも周ることができます。

迷っているのであればクラクフに時間を割いて、是非ヴィエリチカ岩塩坑にも行ってみてください。

注意点

ヴィエリチカ岩塩坑に行く際の注意点としては、まず結構体力を必要とすることです。ツアーが始まってすぐに、380段の階段を降りて、地下64mの地点まで降って行かなくてはなりません。

次に、坑内の温度は14〜16度と少し冷えていることです。特に夏に行く場合は上に羽織るものを持って行くなど、防寒対策はしっかりしましょう。

最後に

ヴィエリチカ岩塩坑は、世界遺産第1号と言うこともあり、その内部の整備にはかなり気を使っているような印象を受けました。

また、人々にその歴史的な価値を伝えようと様々な工夫と努力を惜しまない風潮も感じられました。

世界遺産の登録数が増え続ける現代において、登録されるまでの努力と同様に、登録後の努力ということが一段と重要になっているのではないでしょうか。

ヴィエリチカ岩塩坑は、世界遺産のあり方を考える上でも価値のある遺構であると感じました。